おもてなし する作法にされる作法 実践編【常識のない喫茶店】

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以前、

という記事にて、お客様といえども非礼な客に対しては、

いいかげんにせんか!この、バカちんがあ~~!

といえる店員になりたい、そう書いた。

接客業をしていれば「この客出禁にしてやりてえ・・!」と思うことはたまにある。しかし、日本の接客現場でそんなことを勝手にすれば、出禁になるのはむしろ自分という可能性もなくなない。

なので、お客さんへの不満はひそかに心の中でストレス発散をするくらいだ。

例えば、本屋を新刊雑誌をタダで読める図書館だと思っているのか、
毎朝かかさず長時間の座り読みをするにもかかわらず、いままで一冊も購入したことはない、
というおじさんには「いらっしゃいませ」を言わない、とか・・・。

「幸せになる方法」的な本を読み散らかしたまま帰っちゃう女性に

幸せになる一番の近道は、人から幸せを願ってもらえるような人間になることですよ。

なのでとりあえずわたしは願わなかったり、とか・・・。

お猪口並みの人間の器をあらわした抵抗をするのが関の山だ。

しかしなんと、あるところに「嫌な客と喧嘩OK、出禁OK」の店が存在するという。
海外の話ではない。この日本にである。そんな店のことを書いた本があるというのだ。

なああにいいい⁉

それはぜひ読まねばならない・・・!

【僕のマリ「常識のない喫茶店」柏書房】

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働く人を嫌な気持ちにさせる人はお客様ではない。

「常識のない喫茶店」帯文

本の帯の後ろに書いてあるこの文言をはじめて見たとき、私はのけぞった。

それ…言ってもよかったんですか⁉

人を嫌な気持ちにさせる人は、嫌われて相手の人生から排除されても文句は言えない。

個人的な人間関係では当たり前のことでも、ひとたび、お客と店員という立場になれば、お客様の方だけが許される、という風潮がある。

それはやはり、その間に金銭が介在するからなのだろう。
接客の場面においては、

金を払っている方が偉い

のだ。

以前、自分が客としてレストランで食事をしたあと、テーブルの上があまりに散らかっていたので、帰る前に軽く片付けていたら

それ、店員の仕事なんだからしなくてよくない?
そのためにこっちはお金払ってるんだからさ。

と連れに言われて驚いたことがある。

接客の場面になると店員に対しての言動が横柄になる人がいるが、こういうひとの脳内理論はおそらくこういうことなのだろう。

それはそれで、一つの価値観かもしれない。欧米ではそういう考え方をする人も多いと聞くし。

しかし、前出の記事でも書いたように、欧米ではサービス提供側の文化も日本とは違うため、そこだけを切り取ると不公平な気がする。

どちらかだけが一方的に権利を主張できる状況はやはりおかしいのではないだろうか。

お金でそれが担保される、という考え方を皆さんはどう思うのだろう。
支払われている代金は、品代なのか、店員の下僕代なのか。

個人的には、「おもてなしという残酷社会」の中にも書かれていたように、
かつての日本にあったという「おたがいさま」という気持ちの良い関係が成り立つ接客文化が理想的だと思うのだが、

この喫茶店はさらにその上をいく。

「お金を払っているのだからお客様のほうが偉いんだ」という考えを持っている人は一定数いる。しかし、こちらから言わせてもらえば、働いている人に失礼な態度をとる人や迷惑をかける人は、お客様でもなんでもない。(中略)不快なことには声を上げる。出ていってくださいという。自分たちだけでなく、ほかのお客様を守るためにも、その勇気は必要だ。

「常識のない喫茶店」P33

そう、この店はものいう喫茶店なのだ。

客は店を選ぶ。そして、店も客を選ぶ。

わたしが働いている喫茶店では「お客様と喧嘩してもいい」というルールがあるのだが、これがなかなか爽快である。「もう来ないでください」「お代は結構ですので帰ってください」と言い続けて五年目。何度も喧嘩したし、何人も出禁にした。

「常識のない喫茶店」P28

ルールがあるのだがって・・・w

こういうやり方が実際には難しいのは、経営者がそれを許さないことがほとんどだからだ。
お金を生むお客様は、従業員が受ける理不尽よりも優先されがち。

だからこの本を知った時も「この著者はオーナーなのかな・・?自分の店?」と思ったのだが、著者は従業員で、この店のオーナーがそういう考えの経営者らしい。

スタッフの私語OK。失礼な客を追い出してもOK。喧嘩してもOK。
店で働く条件はただ一つ「やさしく思いやりがあること」。

その空間は、前職で傷ついた著者の心を癒してくれる。

大企業の看板のため、そして売り上げを上げるために耐えていた、理不尽で非人間的なやりとり。
それによって心が壊れるほどの思いをした著者だからこそ、サービス業というビジネスの場における対等性というものに対して敏感なのだろう。

優しく思いやりがあることは人としての基本。その基本は、お客さんにも適用される。

あだ名をつけられるお客たち

この本のほどんとを占めるのが、様々なキャラクターのお客さんたちのエピソードだ。例えば、

喫茶店と出会い系茶屋との区別のつかないセクハラおじさんとか、
常連でもないのに常連気取りで「いつもの」としか言わない、どれだよおじさんとか。

ほかにも、必要以上の謝罪を要求する客、暴言を吐く客、
インスタ蝿客(※インスタ映えする写真や画像を取ることだけに夢中で、周囲の迷惑を考えない人間のことをいうらしい。こんな言葉、初めて知った。)など、モンスターカスタマーたちの事例が目白押しだ。

飲食店ならずとも、

あ~わかる~!

あるあるあるある・・・!!

と共感を呼ぶこと間違いなし。

もちろん、嫌な客だけではなく、好きなお客さんや愉快なお客さんたちのことも描かれている。

この喫茶店のスタッフの間では、自然とそんなお客たちにあだ名がつけられる。どんなあだ名かは、ぜひ本書で確認していただきたいのだが、自分がどんなあだ名をつけられるのか興味がある猛者たちは、ぜひこの喫茶店に通ってみることをお勧めする。

ネガティブではなく、ポジティブなあだ名がつくことをお祈りいたしますw。

…あだ名かあ・・。
ちなみに、あだ名といえば思い出す・・。

むかしむかし、まだ今より若き頃。
仕事が休みの前の日は自分へのご褒美として、当時お気に入りのカップラーメンを買って帰ることを楽しみにしていた。翌日の朝食兼お昼に食べるのだ。

その日も、年末の忙しい一日を終え

今日も買うぞ~❤

と、コンビニのレジに並んでいたのだが、その日はなぜかいつもより店の中が閑散としている。
私の前に一人、作業服のようなものを着たお兄さんが一人並んでいるだけだ。

そして、なぜかそのお兄さんが、チラチラとこちらを見ているような気がする。

不思議に思っていたのだが、家に帰って気が付いた。
その日はクリスマスイブだった。

イブの日に一人、うれしそうにブ〇キムチラーメンを抱えてコンビニのレジに並んでいる女性。
それを見て、お兄さんの心に何が去来したのかは、あまり深く考えたくはない。

後日その話を人にしたら、

ぜったい、今頃そのコンビニであんた、〝ブ〇キムチ〟ってあだ名付けられてるよw。

と言われた記憶が懐かしい。

いや、そんな話はどうでもいい。閑話休題。

社会を変える力を、現場から。

「お客様の声」という名のクレームに、店員が謝罪している文章を店に掲示しているところがある。
お客様は匿名で、スタッフは記名入り。しかも内容があきらかにいやがらせか、うっぷん晴らしのようなものがあったりすると、

いったい、何のプレイ・・?

と嫌な気持ちにすらなる。

企業側の「うちらはこれほど、お客様の意見を取り入れてやってまっせ」というアプローチなのだろうが、店員の人権が間引かれていることには疑問はもたれない。

しかし、長年の慣習を変えることは難しい。それらは長い時間をかけて熟成されてきたもの。それを変えていくのにもまた、長い期間がかかるのだろう。

それでも、こうやっておかしいことにはおかしいと声を上げることを続けていくことが、そして賛同者を世の中に広めていくことが、いずれ世の中の空気を変えていく力になっていくのではないだろうか。

だからみな、ぜひこの喫茶店のことを知ってほしい。
そして、接客するって、されるってなんだろうね。そういう議論が世の中に起こるようになったいいなと思う。

「こういう店は好きじゃない」でも、「これこそ〝常識のある〟喫茶店だ」でも、どちらでもいい。
考えを表に出して、すり合わせていける空気こそだ大切だ。

この世の中は狂っている。悔しいがそれが事実だ。でも、だからなんだ。何の主張もせず、狂ったやつらの言いなりになって働くのか。店員だから格下なのか。お客様だから何をしてもいいのか。(中略)間違っていることを間違っていると言えない弱さは、のちに自分を苦しめることとなる。どんな相手でも対等であること。嫌な気持ちに素直になること。そういうあたりまえのことをやっと思い出せたから、「常識のない」人たちを出禁にし続けることができた。店にだって、お客さんを選ぶ権利はある。罵倒されても、言い返されても、わたしたちは黙らない。

「常識のない喫茶店」P115

若い女の子が闘っているのだ。おばさんも頑張らねば。

おもてなし する作法にされる作法 番外編 
【宝島社「#赤ちゃん相談室 世界一かわいいクレーマーたち」森戸やすみ/監修 大野太郎/イラスト もーちゃん/原案】

しかし世の中には、どんなにクレームを言われても全く腹が立たないモンスターカスタマーが存在することをご存じだろうか。

まったくの勘違い、思い違いに由来するクレームを受ければ受けるほど、笑顔になってしまう。

そんなクレーマーを紹介した本がこちら。

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最近ご飯がまずくなりました。

お客様、それはテッィシュです。

もし赤ちゃんがしゃべれたらどんなクレームが来るのか。そんな想像から生まれたQ&A集。

とにかくかわいくてニヤニヤしちゃいます。

しょっちゅう夜遅くに部屋に入ってくる不審人物がいると、防犯体制の不備を訴える赤ちゃん。
はたしてその不審人物とは・・・⁉w

世界一かわいいクレーマー。こちらもあわせてどうぞ。