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「僕らの旅が始まる」
最初に、その一言が書かれたページをみただけで泣きそうになる。
そんな本を読んだことがありますか。
それは猫嫌いだった男が、黒猫とともにヨーロッパを旅をした18年間の記録。
え・・猫って家につくって言われているのに、海外旅行なんてできるの?
異世界の話ではなく、アニメの話ではなく、奇跡のような現実の話。
旅好きの著者平松健三氏が、ひょんなことから野良の子猫の黒猫(オス)を飼うことになり、彼とともに旅をするようになった記録である。
移動も異国の地もへいちゃらの大物猫、ノロちゃん。
彼の名まえは〝ノロ〟ちゃん。
読み始めて飛び込んでくる彼の写真の数々。
出会った子猫の時の小さくてもこもこした写真に
スギュン・・・!!
そして旅に出て、空港のカートに乗ったキャリーバッグのなかから、ちょこんと顔をのぞかせている写真に、
バキューン・・・!!!
とにかく、写真に破壊力がありまくり。
その写真見たいですか・・?Amazonでも試し読みできそうですがこちらでも見れます・・・。
・・・・・・・・。
あっ、こちらのブログへ戻ってきてくださいました?ありがとうございます(泣)
正直、リンク先のページをみたらもうこのブログ、読む必要ないっすね(号泣)。
写真の破壊力をわかっていただけたかと思いまする。
後は本を読むだけで十分・・。
(でも続く・・)
著者平松氏いわく、ペットと海外を旅行するのに必要なのは
・首輪とリードにならす。
・車に乗れるようにする
・どこでもトイレができるようにする
の3点だそう。
でも正直読んでいくにつれ、このノロちゃんという猫の、車に乗っても飛行機に乗っても、異国の地やホテルであっても、あっという間になじんでしまい、へそ天して寝ることができるという、そのおおらかさ、特異なキャラクターゆえにに成り立ったとのではという気はする・・。
とはいえ、著者が猫を旅に連れていく際の、検疫の情報、下調べや安全の確保の方法などは、
うちのペットも一緒に旅をしたい。。
という人には具体的な知識としても役に立つこと間違いなし。
実際、ノロちゃんの旅を知った人たちの中で、自分のペットを連れて旅行する人たちが増えてきたらしい。
18年の間にヨーロッパとそのヨーロッパ周辺の国37か所を回った二人。
なぜヨーロッパかというと、乗り物もホテルも街中も、ペット同伴OKがほぼ基本の国がほとんどだからとのこと。
この本では、ノロちゃんの旅とともに、世界の猫事情も分かって面白い。
世界の国々の猫とのつき合い方
とうとつに手前の話で恐縮だが、
当家には現在、オス猫がいる。
10代のころに猫を飼っていたが、その後はペットとは無縁の生活をしていた。
しかし、ある時から庭先に、野良猫の黒猫が居ついたことにより、ウン十年ぶりに猫を飼うこととなった。
そしてまず最初に驚いたのは、なんと、世間ではもうだいぶ前から、サザエさんのタマ飼い(お出かけ自由)がNGになってるという事実にぶち当たったことだ。
ペットの飼い方が、ワシの子ども時代と違ごうとるぞ‥⁉
完全に浦島太郎。
亀を助けたら竜宮城へご招待。
猫を助けたら完全室内飼い正義の世界へご招待、だった。
いろいろ調べて後付けで学んでいく日々。
なかには、外猫を家猫にするため、外へ出たがってガラスに何度も何度も頭を打ち続ける猫を無視し、
猫に「もう外へ出れない・・」と絶望させることによって完全室内飼いへの移行に成功した、と自慢しているブログまでみつけておののく・・。
・・・・それは虐待では❓!
サザエさん、ついていけない。もちろん、これは動物病院の先生も〝虐待だ〟と言っていたけれども、そこまでする人が現れるほどに、完全室内飼いは世界の正義となっているのか・・⁉
完全室内飼い正義派の理論としては、社会にとって迷惑とならないためと、猫にとっては、
外に出したら、病気がうつるかもしれないし、怪我をするかもしれないし、事故にあうかもしれないし、迷子になったり誘拐されたりするかもしれないじゃないですか。外に出さないことがこの子の幸せなんです!
ということらしい。
このセリフの対象が、猫ではなく人間だった場合はホラーのような気もするが、しかし郷に入っては郷に従え、ということで完全室内飼いへと移行するべく努力している日々・・・・ではあるのだがいまいち失敗している日々だということをここに告白する。どうしよう・・さだまさし氏に怒られる・・。
公共広告までこういっていることは、これはもう世界の潮流ということなのだろうか。
いろいろと検索して調べてみたところ、朝日新聞のある記事では、必ずしも完全室内飼いが世界の常識ということではないと述べられていた。
確かに、よく岩合光昭さんの世界の猫を撮影しているテレビなどを観ていても、ヨーロッパの猫たちが、バーやレストランに当たり前のようにいたりするシーンを見ることが多い。
不思議に思っていたのだが、この本を読んで謎が解けた。
(ヨーロッパでは)カフェやレストランなどでは、テラス席はもちろん店内もペットOK。町中の商店やデパートも同じくで、庶民的なところから高級店まで、デパートなら地下の食品売り場からブランドフロアーまで、リードにつながれたワンコたちがお行儀よくショッピングのお供をしている姿を目にすることができる。日本人の悲しい性で、入り口でつい「猫いるけど入っていい?」などと訊ねてしまうのだが、逆にきょとんとした顔で「なんでそんなこと訊くの?」と、聞き返されることもしばしば。
「黒猫ノロと世界を旅した⑳年」P57-59
なるほど・・・。あの、街中で猫と人間がともにランチやお茶を楽しんでいる優雅な景色は、そういう文化があるからなのか。・・・うらやましい・・・。
「猫を愛することは信仰の一側面」という土地柄のアラブでは、
無類の猫好きの彼らだが、誰もが家で猫を飼っているというわけではなく「地域の猫をみんなでかわいがる」という形で猫と接している人も多いようだ。
「黒猫ノロと世界を旅した⑳年」P159
国が変われば猫との付き合い方も変わる。こうやって、いろんな国のペットとの付き合い方を知って、なにがお互いの幸せなのか、思考停止にならずに考えていきたいものだ。
憧れる猫との世界の旅・・・いざ、われわれも‥‥⁉
さて、ひるがえって私の横でへそ天して寝ているうちの黒いの。
後ろ脚はウサギをひっくりかえしたみたいな形でおっぴろげ、前脚はオバケだじょ~~の状態で、お腹を撫でられてグルグル言っているこの生き物と、こんな旅ができたらどんなに素敵だろう・・
猫を飼っている人なら絶対に読後、そんな気持ちになること間違いなし。
しかしうちの黒いの。
80日間世界一周ならぬ、28日間どこかへ失踪、という経歴の持ち主の脱走兵である。
その時ったらもう・・・。
朝5時に起きて、仕事に行く前にちゅーる片手にふらふらと捜索。
夜帰って来たら、ちゅーる片手にウロウロと捜索。
近所から「暗い時刻に不審者がうろついている」と通報されなく良かったと後で思うほど探し回ったものだ。
そしてある日の朝がた突然、心配でやせた飼い主をよそに、
若干太って帰ってきた。
・・・・・
別宅疑惑を持たれてしまったこの帰還兵の彼との、世界中を旅をする夢のような暮らし・・・・。
・・・・・・・。
無理だな。
ヨーロッパで脱走されたら、
最近、ちゅーる片手にさまよう日本人女性の亡霊がでるらしいわよ
と、新たな怪談話を生んでしまうことになる。
子猫のころからのしつけと信頼関係と、飼い主さんの準備とノロちゃんの性格と、いろんな条件がそろったからこそ生まれたこの奇跡の旅。
わたしは、当家の〝黒いの〟のお腹を撫でながら、時折この本を開いて楽しむことで満足するとしよう。
ここから先は、本を読んでから読んでね・・
2002年から18年間、37か国のノロちゃんとの旅。
著者さんと出会ってから20年。
ノロちゃんは虹の橋を渡っていった。
そのことを知っていたので、冒頭の「僕らの旅が始まる」で泣きそうになったのだ。
実をいうと、クロちゃんが旅立つまでを記録した、第4章「最後の22日間」はまだ、読んでいない。
ぱらぱらとめくったけれど、ダメだった。涙が止まらない。
もう少し、このまま世界のどこかで今もノロちゃんが旅をしている、そんな気分を味わっていたい。
旅は始まったら必ず終わる。
でもその素晴らしい旅は、いつまでもかかわった人たち、そしてこの本を読んだ人たちの中で生き続ける。。
いや・・。本当は、今でもきっといると思っている。
大好きな人のそばで。大好きな旅をしている、はずだ。
たとえ、姿は変わっていたとしても・・。