冗談のように人生を。あなたを支える物語。【「カラフル」】

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ひとりごと、はじめました。

人生は壮大な冗談のようなもの。
それはどの偉人の言葉だったか。

「わざわざ生まれてわざわざ大変な思いして、最終的にいなくなる。
ほんと冗談としか思えないわよね(ごくごく)」
「ほんとそうですよね・・(もぐもぐ)」

とある現代に生きるおばさんたちが、ケーキセットを食べながら生み出した人生訓であった。苦労人の先達でもある友人との共通の人生認識である。

だから、たいていのことはユーモアに変えて笑っていこう。
そんなふうに思っていた日々に、コロナがやってきた。

壮大な冗談の人生を共に笑いあって、ガトーショコラを食べる井戸端会議もなくなった。
ただでさえ少ない人間関係はますます少なくなり、職場と自宅を往復する日々。

しかも、最近の職場は世の流れにのっとって、スタッフの半分がAIロボットとなっている。

見た目は人間だが、効率重視、仕事に関係ない会話は無駄というまっとうな判断から、
私の高尚なユーモアは、単なるおやじギャグ、または意味不明のノイズとして処理されてしまう。
突っ込んでもらいたくてボケても、ただの年齢的なボケだと認識されてしまうようなのだ。(※もちろん冗談です)

馬鹿を言う相手がいなくなると人間はどうなるか。
自分でぼけて自分で突っ込むようになる。

そう、独り言が増えだした。

運転中に、部屋でリラックス中に、買い物中に、脳内ではバーチャル会話が行われている。

(この自動販売機では120円のこのジュース。むこうの食料品売り場では80円だよ。)
(40円は大きいね。食料品売り場まで行く?)
(いやー、でもその十数メートルを40円のために、あと10分しかない休み時間を使うべきか悩むなあ。リラックスするためにちょっと飲みたいだけなのに、その距離は割に合わないような・・。)
(確かにねー。でも40円あれば三連結のチ〇ルチョコが買えるよ・・。)

自動販売機の前で逡巡していると、突然

「そうだよね~」

とリアルな声が聞こえてきた。
「えっ、誰?!」と驚いていたら自分の声だった、と気づいた時の恐怖・・。

思わず「あ、Bluetoothです~」とばかりに耳を抑えてみたりして。バレバレである。
買い物しながら独り言を言っているおばちゃんは、こうやって生まれてくるのだなと納得する日々。

・・あぶないのでは。
これは、人として危険水域に近づいているのでは。
そう感じた私は、人として壊れる前になにか手を打とうと考えた。

生まれてしまったエネルギー(思い)は放出されなければならない。
放出先がないままたまり続けていれば、きっと病気になるだろう。心が(泣)

そんなこんなで、マジで壊れる3秒前のおばさんの救済策として始まってしまったこのブログ。

間違って読んでしまった人のお目汚しになることもあるかもしれないが、
でももしかしたら、このおばさんのしょうもない日常を読んで
「なんか、こんな奴が生きてるなら、自分はもっと生きてていいかも。」
という希望を感じてくれる人もいるかもしれない。

そして、これを読むことでちょっとでも笑ってくれるひとがいたら、
それは私のしあわせである。

人のお役に立てるかな。

ただ、さすがにおばさんの独り言だけではブログとしてどうなのよ・・ということで
同時に提供できる役に立つ情報はないかと考えてみた。
ブログを書く際には、何か一つ読者の皆様に役立つ情報を付加すべきなのだそうだ。

ふむふむ。では最近のブログで求められている情報とは何なのだろうかと調べてみる。
美容や転職、筋トレ、教育などの情報が人気だそうだ。

・・・・・・・・・・・・・・・無い。
無いなあ・・。私に教えられるようなものはひとつもない・・。

たいして化粧もしないし、ブラック企業から倍率100倍のホワイト企業に転職もしていないし、筋力テストでは自分よりだいぶ年齢が上の人にも負けるし、教育なんていまだにむしろ自分がしてほしいくらいだし。

かろうじて何かあるとすれば、棚に収まりきらず整理しようと思っても結局捨てられずに、積み上げられてピサの斜塔のようになっている本たちくらいだろうか・・。

彼らを世の人に紹介することとしようか。「どこの馬の骨かわからないおばさんの読書遍歴」・・・そんなブログ、誰が読むというのだろうか。
しかも遍歴とかいうレベルの読書量でもない。9割9分忘れちゃったしね。

ただ現在書店員として働いているわたくし。仕事でPOPを書くことはある。本にたまについている手書きの紹介文、あれですね。いつも、書きたいことをハガキよりも一回り小さい用紙に、どのようにまとめたらよいかで苦心する。
それに、紹介したい本と、今POPをつけなければならない本は違うことがほとんど。

それならば、紹介したい本の文字制限のないPOPとして、書くことにしようか。「へえ、そんな本もあるんだね」という程度にでも、誰かの役に立てれば幸いである。

ということで、雑記と本の紹介ブログを書くこととあいなった。

タイトルに悩んでいたら、本棚の森絵都さんの「カラフル」と目が合ったため、そこからヒントを得てブログのタイトルに。

ということで、本の紹介第一弾は決まりだ。

【森絵都著「カラフル」文春文庫】

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あらすじ
 天国へ向かった主人公は、天使のプラプラから「抽選にあたったため現世へ戻ることができる」と告げられる。前世で悪行を犯した主人公の魂は、あとかたもなく消滅してしまうところ、ふたたび魂継続のチャンスが与えられるというのだ。
なんとなく浮世疲れを感じていた主人公は気乗りがしないのだが、ボス(神様)の決定のため拒否権は与えられない。強引に現世へと戻され、小林真という自殺を図った少年の体の中に入ることに。
現世でのミッションは、自分の前世での悪行を思い出すことだ。

主人公は、少年の体で人生を始める。正直、他人の人生なので気楽なものだ。
両親も良い人たちだし、小林真という少年がなぜ自殺したのか不思議なくらい。
けっこう楽しく過ごせそうだと思い始めた主人公だったが、次第に様々なことがわかり始めて、見えていたものの〝色〟が変わり始める・・・。

それは、黒だと思っていたものが白だった、という単純なことではなく

「カラフル」森絵都著 理論社 P191

(※私の蔵書は理論社版ですが、現在は文春文庫版のみが入手可能です。)

コロナの中、特に日常が変わらないという人もいれば、突然落とし穴に落ちたように、人生がつらくなってしまった人もいるだろう。べつにコロナじゃなくても、生きているということは、そういうことと出会う可能性の中を生きるということなのかもしれない。

人はそんなに強くない。はたから見たら、ちょっとした変化にしか見えないことが致命傷になることもある。
危うい細い糸に支えられて、今まで立っていたのだと気づくこともある。

だからこそ逆に、ちょっとしたことで救われることもあるだろう。

読書がその細い糸の役割を果たしてくれたらいいと思う。
そして、この作品はそういう存在になりうる物語だ。

ヤングアダルトというジャンルのため、中高生に向けて書かれた小説だが、良書は世代を超えて感動を与える。

人生は期間限定の舞台。壮大な喜劇みたいなもの。
だから、気楽にいこうぜ。

この作品を思い出すたび、天使のプラプラからそういわれているような気持になる。

コロナ禍で、ちょっと疲れてしまった人にお勧めの本です。

(※そして、この作品、今まで映画化アニメ化されていますが、古沢良太さん脚本とかでドラマ化してほしい・・)