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人生は多面体である。
だから、どの側面から光を当てるかによって、その人生はまったく違った様相を見せる。
「前科があって、定まった住居をもたない中年男性」と
「ロケット開発もしている、ビジネスマン憧れのインフルエンサー」というと、
全く違う二人の人生のようにみえるが、同一人物であるように。
「突然現れた三食昼寝付きの居候」と
「あんなこといいな、できたらいいな、をすべて叶えてくれる新しい家族」
がおなじ未来型ロボットであるように。
だから、なるべく人生を喜劇の側面からとらえていきたいと思っているのだが、いかんせん生来のネガティブな性格から、すぐに陰気な考えが浮かんでしまう。そんな性格を何とか変えられないものかと、同じ悩みを持っている人を探して人生相談を読むのが結構好きだ。
人の悩みは、それをどの角度から見るかによってとらえ方は変わる、というのは多くの先人たちが教えてくれている知恵である。悩みで行き詰ってしまうのは一つの方向からしか見ることができないからだと。
人が誰かに相談をするのは、自分の悩みを別の方角から光を当てるとどう見えるのか、ということを知りたいからなのかもしれない。
人生相談といえば、サイコパス
ということで、やっぱり人生相談といえばサイコパスだ。
どうゆうことだ。
悩み相談の回答というと、
・いいんだよ、ありのままでそのままで、みつお。パターン
・気合いだ!気合いだ!気合いだ!パターン
・それは先祖の祟りじゃ、このツボを買いなされ、パターンと
いろいろある中で、どうも私は自身をサイコパスだと自認している人の人生相談が好きなようだ。
例えば少し古い本にはなるが、精神科医だった頼藤和寛 先生の人生相談をまとめた本「正しく悩む」新潮社。 頼藤先生はご自身のことを「人の気持ちのわからない精神科医」とか「宇宙人」などと評されていたのだが、ウェットな感情を完全に排除した答えに、こちらのウェットな気分も吹っ飛んでしまう爽快さがあって面白かった。
ただ、残念ながらすでに先生は他界されており、ほとんどの本が絶版となっているため書店で入手することはできない・・絶版になっている本を紹介してどうする、という気もするが、読んでほしいなあ、面白いので。
なのでぜひ図書館で借りて読んでください、
と書いたところでふと気になって、地元の図書館の蔵書を検索してみる。
置いてない・・・。
置いてないのかあ・・(泣)
そりゃ毎日200点ほどの新刊がうまれているのだもの。後入れ先出し的に押し出されていくのは仕方ないけれども。
このように本というものは、いつでも読める、手に入ると思っていると、いつのまにかもう手の届かないものとなっていることがあるので、欲しい本はぜひ、その時その場で買いましょう・・泣。
ネットで中古で買うもんね、と思っていると、思いもかけず値段が爆上がりしていて手が出せないことも多いですしね・・。
では、今手に入るサイコパスの人生相談で紹介できる面白いものはなにかといえば、
岡田斗司夫さんのYouTubeの「サイコパスの人生相談」である。
本じゃないけど。
岡田さんのYouTubeではアニメから時事から様々な彼の考察が聞けるのだが(ジブリアニメの考察は〝面白い〟を超えてもはや衝撃です・・!)何より楽しいのが、定期的に行われる「サイコパスの人生相談」だ。
岡田さん本人がご自身をサイコパスと称していて「真剣な悩みを、面白がって解答します」と銘打っているところへ、視聴者が相談を送ってくる。「職場の上司がサイコパスで、つらいんです・・・」みたいな相談をサイコパスの人にするわけだ。
そして彼は、相談者の質問にニコニコしながら刀を振りかぶり、アハハハと楽しそうに笑いながらバッタバッタと切り倒していく。
相談者だけではなく、見ているこちらも巻き込まれて切り刻まれて血を流すということもたびたびなのだが、その剣さばきがあまりにも見事なので、切られているのに快感なのである。
例えばある男性の「自分が嫌い」という相談では
とバッサリである。
自分が嫌いというのは、一見自虐のようでいて実は傲慢の裏返し。
ううむ・・痛快。そして耳が痛い。じぎゃくかましてよかですか。
もちろん、面白半分にディスられて気持ちよくなる人はいない。
バッサリと切られているのに、不愉快にならないどころか、なぜか気持ちいいと感じてしまうのは、岡田氏が相談に答えるにあたって、分析や思考に惜しみない力を注いでいるからだ。
そのことがわかる本がある。
【岡田斗司夫著「オタクの息子に悩んでます」幻冬舎新書】
新聞連載されていた人生相談の「悩みのるつぼ」での、回答するまでの試行錯誤を説明した本である。
どのような分析と思考によってそういう回答になったのかということを披露してくれているので、自分自身の悩みと向き合う際にも参考になる。
どんな相談であっても絶対に相談者の見方になって考える、に徹して答える岡田さん。
しかしその掟を破って、はじめて相談者を説教した回がある。その答えが忘れられない。
ものを買い込みため込む実家の母の“問題行動”に、どう対処したらよいのか
という娘の悩み。今のご時世多くの人が抱えている問題だろう。(ご多分にもれず当家もだ笑)
最近では断捨離は正義となっている。そういう本も大量に出ているし、そういう番組もある。おそらくほとんどの人がこうゆう問題の場合、娘のほうに同情し、そちらのほうが正しいと疑わないだろう。そしてこの“問題行動”をする母親をどう解決するべきか、という気持ちで回答を読むだろう。
だがその期待は覆される。そしてその愛のある回答に思わず胸を突かれて涙があふれた。
人生は多面体。みんなが正しいと信じて見ている側面の裏側から岡田氏は光を当てる。すると、そこにはその“問題行動”の本質にある「人が生きる」ということの切なさがあぶりだされ、正しさは正しさではなくなっていくのである。
どのような回答だったかはぜひ本書で。
愛あるサイコパスの人生相談。
やめられないとまらない、くせになる美味しさ。ぜひ一度ご賞味を。